人は人生で何回、二度とないまたねを言うんでしょうね。

 

ずっと女の子に成りたかった。髪はショートカットに切らされてスカートをあまり履かせてもらえなかった。外で遊ぶようにと男の子のように育てられ、普通の女の子にはなれないのならばと男である兄を尊敬していた。恋愛感情ではなく純粋に身近にいる女の子やアイドルに憧憬していて、いつも女の子は自分には遠い存在だった。それでも憧れは止まずに幼少期の反動故か今は髪を伸ばし、リボンやフリルが付いている服を好んで着てしまっている。痩せて化粧を学んだけれど、やはり何かが欠けているような気がして失った時間は補えないんだと焦燥感に駆られる。穴を埋めるようにブランド物をいくら買っても溝は深まるばかりで意味が無い。見た目を褒めてもらっても違和感しかなく、どうしてだか自己肯定感が損なわれていくだけだ。コンプレックスは肥大化していき、人間不信が悪化しては人混みの中に投げられると衰弱しきってしまう。

 

見栄を張るのも生きている世界が違う人たちと付き合うのも疲れた。変わりゆく環境で馴染むために人は時に自分を変えなくてはならない。それでも、私は変わることを恐れ、変わってしまった自分に嫌気が差した。私は私でなくてはならない。自分に見合った生活を送ることで少しは自尊心を保てるようになった気がする。